インド電動二輪車市場の最新動向レポート:登録台数53%増の急成長、TVS・Bajajが躍進しOla Electricは首位から転落

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インドの自動二輪車の市場調査レポート

インドの二輪車市場で、電動化の勢いが数字の上でもはっきりと確認できるようになってきた。2026年度(2025年4月〜2026年3月)の電動二輪車(e2W)新規登録台数は140万1,818台に達し、前年度の115万790台から21.8%増加した。直近の動きはさらに速く、2026年1〜6月期の登録台数は97万993台と前年同期比53.3%の急伸を記録し、7月には単月として初めて20万台の大台を突破した(約20万4,266台)。この拡大の裏側では、長らく市場を牽引してきたOla Electricが急速に失速し、TVSモーター、バジャジ・オート、アザー・エナジー、ヒーローモトコープといった競合各社がシェアを奪う「主役交代」が進行している。台数の伸びそのものだけでなく、このシェア構造の変化と、政府による普及策の転換点を捉えることが、インド市場調査を通じたインドマーケティングリサーチにおいて重要な着眼点になる。

首位から転落したOla Electricと、勢いづく在来メーカー

かつてOla Electricはピーク時に市場シェア約50%を握り、3年連続でe2W販売台数の首位を守ってきた。しかし2025年の暦年ベースではTVSモーターが29万8,967台を販売して首位を奪い、Ola Electricは51%の販売減少により4位に転落した。2026年度通期でもこの流れは変わらず、TVSモーターが34万1,513台(シェア24.4%)で首位、バジャジ・オートが28万9,349台(20.6%)で2位、アザー・エナジーが23万9,178台(17.1%)で3位となった一方、Ola Electricは16万4,295台(11.7%)にとどまり、前年度比52.3%減という大幅な販売減少で4位に沈んだ。2026年上半期だけを見ても、Ola Electricの登録台数は前年同期比44.1%減、市場シェアは6.8%まで縮小している。

この失速の背景には、急拡大した販売台数にサービス網の整備が追いつかなかった事情がある。全国消費者相談窓口(National Consumer Helpline)には2023年9月から2024年8月までの1年間で1万644件の苦情が寄せられ、インド中央消費者保護庁(CCPA)が不公正取引の疑いで是正勧告を出す事態にまで発展した。これを受けOla Electricは2026年5月にサービス拠点を650カ所に拡大し、即日対応を掲げる「ハイパーサービス」拠点の新設や、直営店中心だった販売網をディーラー主体へ切り替えるなど立て直しを急いでいる。一方、TVS・バジャジ・アザー・ヒーローの上位4社は2026年上半期の増加分の95.6%を占めるまでに存在感を強めており、市場は「新興1社の独走」から「在来大手メーカーによる寡占」へと構造転換しつつある。

FY2026年度の勢力図

2025年度通期の登録台数をメーカー別に見ると、上位4社(TVSモーター、バジャジ・オート、アザー・エナジー、Ola Electric)で市場の73.8%を占め、残る26.2%をヒーローモトコープを含むその他メーカーが分け合う構図となっている。中でもヒーローモトコープは2026年上半期に登録台数が3倍以上に伸びシェア10.9%まで浮上するなど、後発ながら急速に存在感を高めている点が目を引く。バジャジ・オートも上半期に前年同期比48%増の21万8,089台を記録しており、単月ベースでは2026年6月にTVSモーターが4万6,999台(シェア25%)、バジャジ・オートが4万3,234台(同23%)を記録し、この2社だけで市場のほぼ半分を占める場面も見られた。

インド 電動二輪車 メーカー

補助金縮小と2028年3月までの再延長という政策転換

この市場拡大を後押ししてきたのが、2024年9月にインド重工業省が導入した需要喚起策「PM E-DRIVEスキーム」(総予算1兆900億ルピー)である。電動二輪車向けの購入補助金は、制度開始1年目は電池容量1kWhあたり5,000ルピー(上限1万ルピー)だったが、2025年4月からは1kWhあたり2,500ルピー(上限5,000ルピー)に半減された。それでも対象車両を工場出荷価格15万ルピー以下でリチウムイオン電池搭載の車種に絞り込んだ結果、制度終了時点までに目標250万台に対し270万台超の登録という実績を残している。

補助金は当初2026年3月末で終了する予定だったが7月31日まで延長され、市場では8月以降の新規登録車両が対象外となることへの懸念と、それに伴う5,000〜1万ルピー程度の値上がり観測が広がっていた。しかし8月14日、重工業省は電動二輪車向け予算を1,000億ルピー積み増して総額2,767億ルピーに拡充した上で、対象期限を2028年3月末まで再延長すると発表した。これにより2025年4月から2028年3月までに登録される電動二輪車は、引き続き1kWhあたり2,500ルピー(上限5,000ルピー)の補助を受けられることになり、価格面での不透明感は当面解消された形だ。なお電動三輪車や電動バス、電動トラック、充電インフラなど他区分への補助は、もともと2028年3月末まで継続する設計になっている。

レポートのまとめ

インドの電動二輪車市場は、2026年度に登録台数が140万台を超え前年比21.8%増となった一方、直近半期では53.3%増という一段と速いペースでの拡大を見せている。市場の主役は、サービス品質の問題で急失速したOla Electricから、TVSモーター、バジャジ・オート、アザー・エナジー、そして急伸するヒーローモトコープへと移りつつあり、上位4社による寡占化が進行している。加えて、購入補助金が2028年3月まで再延長されたことで、当面の価格不透明感も解消された。日系二輪メーカーの登録台数がなお僅少にとどまる中、この電動化とシェア再編の流れをどう捉え自社の商品戦略・販売網構築に落とし込むかは、インド市場調査を通じた現地の消費者動向や競合動向の把握なしには判断が難しい。電動二輪車市場に限らず、インド市場での事業機会の見極めについては、ぜひ弊社にご相談ください。